改革と無関係に「小池防衛」が目的化
専決処分を連発でも、都議会ではチェックせず

 最後に小池知事と都民ファの関係について書こうと思う。私が今年2月に都民ファを離党した最大の理由は、党の目的が都政改革ではなく「小池知事を守ること」にすり替わってしまったことだ。

 都政改革のための手段として小池知事と協調していくというあり方は否定しない。しかし、都民ファーストの会においては、改革とは無関係に、小池知事の防衛そのものが最優先事項になる逆転現象が起こっていた。

 小池知事に不利な内容について、個別議員のSNSで取り上げないよう指示されることもあった。SNSはともかく、都議会でさえ取り上げないこととなっていたのは信じがたいことだ。

 例えば小池知事はコロナ禍以降、莫大な金額の補正予算を、都議会のチェックを受けることなく専決処分を執行することを繰り返した。

 都議会では、都民ファだけでなく、自民党、公明党が賛同しなかったため、臨時議会も開かれなかった。他県では緊急性の高い予算案でも、議会を開いてしっかりと議論されているにもかかわらず。

 実際、休業や時短営業を要請された事業主にお支払いする協力金の制度の中にもさまざまな矛盾があるが、都議会での議論を経ていれば、こうした点は是正されていた可能性が高い。

 小池知事が進める補正予算にケチがつかないように公の議論すら行わない、ということなのだろうが、制度の矛盾が多くの事業者や都民の暮らしを振り回している現実を見て見ぬふりをしながら「開かれた議会を」と訴えるのは、どうかやめていただきたい。

 以上つづってきたように、こんなイカサマの改革では、真の都政改革を信じて投票してくれた有権者に申し訳が立たないし、いびつな組織の中で、矛盾があっても小池知事を守り続けるのが使命というのであれば、それは都民のためにもならないというのが、私の率直な思いだ。

 7月4日投開票の都議選の後、都民ファがどうなっていくのかはわからないし、国政に意欲をたぎらせる小池知事が、いつ東京都知事の座を放り出すのかもわからない。それでも、志ある一部の都民ファ所属議員の手によって、本当の「都民ファースト」が追求されるようになることを望んでやまない。