「頭がいいかどうか」という意味で「知能指数が高いかどうか」を基準に語られることがよくあります。しかし、知能指数は恒常的なものではなく、さまざまな要因で変動するもの。東京大学先端科学技術研究センター人間支援工学分野の中邑賢龍教授は、「IQや学歴といったものは、人の能力を正しく反映するものではない」と語ります。多くの人が抱いている「知能指数」の誤解とは?
※本稿は、中邑賢龍氏の著書『どの子も違う――才能を伸ばす子育て 潰す子育て』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
頭の良し悪しは
知能指数だけでは測れない
自分の子どもが「頭がいいかどうか」を気にする親がいます。その意味で「知能指数が高いかどうか」を気にする人も多くいます。
しかし、頭の良し悪しは知能指数などの軸だけで測れるものではありません。
米国の心理学者であるルイス・ターマンは、「IQや知能検査を信頼している人は科学的な装いに惑わされており、実態以上に大きな力をそれらに与えている」と述べていますが、筆者も同感です。社会を見渡せば、多くの人が「知能指数が人の能力や判断に大きな力を持つ」ように認識しているように思われますが、どれだけの人がその意味を正しく理解しているか、疑問に感じています。