東京五輪の開催まであと1カ月に迫るが、菅義偉首相は「開催する意義」を問われても、答えないままだ。
本当のことを言えないからだろう。「私の政治生命がかかっている。東京五輪で一発逆転を狙っています」と答えれば、世間は「なるほど」と思うだろう。
そうは言えないから、念仏のように「国民の命と健康を守り、安全安心な大会が実現できるように全力を……」と繰り返す。
首相周辺から聞こえてくるのは「五輪が始まれば、世の中の気分は変わる」という淡い願望。熱狂し「感動をありがとう」と支持率がV字回復することだってある、と期待を寄せているらしい。
「ニッポン、チャチャチャで世論は変わるか?」
「開催の意義」、語らず答えず
成功した「時間切れ作戦」
東京五輪は菅首相による社会実験だ。試されているのはわれわれ日本人の成熟度かもしれない。
閣僚経験のある自民党議員はこう語る。