農協改革の新ルールを決めた規制改革会議。菅義偉首相は5年前の農協法改正を主導した農協改革の新ルールを決めた規制改革会議。菅義偉首相は5年前の農協法改正を主導した Photo:JIJI

政府の新たな農協改革の方策が決まった。農協ごとにKPI(重要業績評価指標)を設けて農業所得の増大に取り組み、農林水産省にそれを徹底監視されるのだ。地域に農業がほぼない都市部の農協に高いハードルが課されたことで、東京都や大阪府などで、信用組合や生活協同組合へと転換する農協が増えそうだ。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

JAに本業の“農業振興”目標が設定
農協の存在意義が問われる「新ルール」

 JAグループ関係者が固唾をのんで見守っていた政府の規制改革の議論がついに決着した。6月21日に、規制改革実施計画が閣議決定された。

 この規制改革の議論は、2016年の農協法改正で5年度をめどに検討するとされた新ルールを決めるためのもの。政府の規制改革会議の議論の末、非農家である准組合員の農協の事業利用制限が見送られたことでJAグループ内では安堵が広がっている。

 だが、これをもってJAグループが安泰だと考えるなら、まったく間違った認識である。

 農協改革の新ルールと農協の実態を照らし合わせると、むしろ農協の存続に厳しい足かせがかけられたと見る方が正しい。

 今後、都市部には、農業協同組合として存続できず、信用組合や信用金庫、生活協同組合などに組織を変更する農協が出てくる可能性が高いからだ。特に、東京都や大阪府などの農協には厳しい現実が待っているのだ。