日本のコーポレートガバナンス(企業統治)改革は、しばしば痛みを伴う長いプロセスとなってきた。だがこのところ、長年指摘されてきた問題に進展がみられる。経営陣の力を強め、リターンを圧迫する傾向のある大規模な株式持ち合いという問題だ。ゴールドマン・サックスによると、東証1部に上場している非金融企業の3月まで6カ月間の有価証券売却益は、前年同期比92%増の6100億円となった。また、2021年3月期に株式の持ち合いを減らした企業は137社で、前年同期比59%増となっている。日本で広くみられる株式持ち合いは固定化した経営のよりどころとなり、株価評価を押し下げていると批判されることが多い。相互保有株式の比率が高い企業は往々にして、純資産価値を下回る水準で取引されている。相互保有株式を売却して現金を有効活用することがほとんどないためだ。一例として、京都銀行が保有する29億ドル(約3200億円)相当の任天堂株は、同行の時価総額の85%に当たる。
日本企業の相思相愛、解消ペース速まる
株式持ち合い縮小に進展の兆し
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