現役歯科医師の画家が挑む「痛みを軽減させるアート」とは何か「アートで痛みを減らす」とは? Photo:PIXTA

アートと痛み――。一見結び付かなさそうな二つだが、面白くも不思議な関係性があるようだ。気付かせてくれたのは、23日まで二子玉川で開催されていた『アートが痛みを減らすっ展!?』の仕掛け人、長縄拓哉氏。現役歯科医師で自らも画家である彼は、アートを通して、病気についてのコミュニケーションの活性化、そして理解と行動変容を促すことを目指し、活動しているという。詳しい話を聞いてみた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

現役歯科医師が描いた
痛みを軽減させるアートとは?

 二子玉川の蔦屋家電+(世田谷区)で2021年5月25日(火)から6月23日(水)の約1カ月間にわたり、ユニークな試みが行われた。題して『アートが痛みを減らすっ展!?』。同店初の絵画展であり、さらにアートと痛みの関係性を探るというこれまでにない実験展示も兼ねた。

 アートを制作したのは現役の歯科医師で、デジタルハリウッド大学大学院の院生でもある長縄拓哉氏(歯科医師/医学博士/画家)。東京歯科大学卒業後、都内大学病院での勤務を経て、現在は病院、在宅医療、訪問介護の現場での口腔ケアを認定する団体の運営をしながら、訪問歯科の分野で臨床を続けている。

 大学病院時代に口腔顔面領域の難治性の「痛み」(Orofacial Pain)の研究をするためデンマークの大学に留学していたとき、環境が人の痛みに与える影響について造詣を深めた。昔から絵を描くのが好きだった長縄氏は、自分の描いた絵を使った「痛み治療」のやり方があるかもしれないと思い至ったという。