水虫爪に水虫ができる「爪水虫」は完治が難しく、放置すると激しい痛みに襲われます Photo:PIXTA

爪が白や黄色に濁る、厚くなる、白い線が入る――。こうした症状が見られたら、水虫菌が爪の中に入り込んだ「爪水虫」の可能性がある。実はこの爪水虫、自覚症状がないうちに進行し、変形した爪が皮膚に食い込み激しい痛みを伴うこともある。水虫の中でも最も治りにくいといわれているため、注意が必要だ。深刻ながらまだあまり知られていない「爪水虫」の実態と治療法について、水虫治療の名医として知られる仲皮フ科クリニック仲弥院長に聞いた。(聞き手/医療ジャーナリスト 井家真人)

意外と知らない「爪の水虫」
放っておくと大変なことに

仲弥院長仲弥(なか・わたる)
仲皮フ科クリニック院長。水虫治療のスペシャリスト。真菌のNeutral red染色の研究では、1995年度日本医真菌学会奨励賞を受賞。全国各地で最新の水虫治療などについて精力的に講演活動も行う。著書『水虫は1ヶ月で治せる!』がある。

 足の指の間や、指の付け根などで発症した水虫を放置すると、足の裏全体に拡大し、繁殖した「白癬菌(水虫の原因菌であるカビの一種)」が爪の中に入り込んで「爪水虫(爪白癬)」を発症したり、足からばらまかれた菌が背中やお尻などについて「たむし」になったりする可能性があります。

 初期の足の水虫の多くは水ぶくれやかゆみを伴いますが、進行して角質増殖型の水虫になるとかゆみなどはなくなり、ほとんどは「足の裏ががさがさしている」「かかとの皮が厚い」「よく皮がむける」といった状態で進行します。

 ほとんど症状がないため、自分は「水虫ではない」と思い放置していると、白癬菌が爪に入り込み、進行すると爪が白や黄色く濁る、厚くなる、白い線が入るなどといった症状に進行する可能性があります。これが「爪水虫(爪白癬)」という状態です。過去に行った日本臨床皮膚科医会の調査では、足水虫が5人に1人の割合であるのに対して、爪水虫は10人に1人と推定されています。

 爪水虫の種類は、症状によって大きく4つのタイプに分けられます。1つ目が、爪の先端から病変が始まるタイプ。2つ目が、爪の根元から病変が始まるタイプ。3つ目が、爪の表面に病変を形成するタイプ。4つ目が、爪全体に病変が広がっているタイプです。