東芝の株主総会で取締役会議長の永山治氏の再任が否決される異例の事態になった。「仕切り役」が不在となり、経営の混乱に拍車がかかることは必至だ。物言う株主(アクティビスト)は余勢を駆って、今後追加される5人の取締役ポストを狙っており、東芝経営陣は防戦一方になりそうだ。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
東芝の「身売り・非上場化」に現実味
取締役会議長の再任否決は波乱の始まり
6月25日に行われた東芝の定時株主総会で、取締役会議長を含む2人の取締役の再任が否決される事態が起きた。
東芝では従来、アクティビストと経営陣が取締役ポストを奪い合ってきた。そこへ火に油を注いだのが、6月10日に発表された外部弁護士による調査報告書だ。東芝が経済産業省と一体となって株主の議決権行使に圧力を掛けていたことを明らかにするもので、株主から経営陣への批判が高まっていた。
今回の定時株主総会で、永山氏ら2人の取締役がポストを失ったことは、アクティビストにとって取締役を送り込み、主導権を握るチャンスになる。
取締役会議長は当面、綱川智社長兼CEO(最高経営責任者)が兼務する。東芝は早期に、臨時株主総会を開き、取締役を補充する方針だ。しかし、取締役議長として取締役会を取り仕切ってきた永山氏の後任を見つけるのは容易ではない。