世界の「今」と「未来」が数字でわかる。印象に騙されないための「データと視点」
人口問題、SDGs、資源戦争、貧困、教育――。膨大な統計データから「経済の真実」に迫る! データを解きほぐし、「なぜ?」を突き詰め、世界のあり方を理解する。
書き手は、「東大地理」を教える代ゼミのカリスマ講師、宮路秀作氏。日本地理学会の企画専門委員としても活動している。『経済は統計から学べ!』を出版し(6月30日刊行)、「人口・資源・貿易・工業・農林水産業・環境」という6つの視点から、世界の「今」と「未来」をつかむ「土台としての統計データ」をわかりやすく解説している。
「人口」がわかれば、世界がわかる!
世界銀行によると、世界の人口は76億7353万人(2019年)です。2006年時は約65億9300万人だったので、毎年約8300万人ずつ増えている計算になります。
ドイツの人口が8313万人ですので、「毎年ドイツが誕生している」といっても過言ではありません。
現在、世界で最も人口が多いのは中国です。第2位のインドとともに10億人を超えています。3億人を超えるのはアメリカ合衆国、2億人を超えるのはインドネシア、パキスタン、ブラジル、ナイジェリアです。
アメリカ合衆国のように移民などの「社会増加」が大きな要因になっている国がありますが、一般的に劇的な人口増加は高い出生率と低い死亡率によってなされます。
中国は1979年から2016年まで続いた「一人っ子政策」によって急激に出生率が低下し、人口増加は鈍化しました。
インドも人口抑制政策を進めていましたが、2010~2017年の年平均増加率は1.2%と依然として高水準です(2000~2010年は1.6%)。人口増加は鈍化していますが、本来は人口を11億人に抑えることが目標でしたので、実質的には失敗といえるでしょう。
下図を見てください。中国とインドの人口推移です。
インドが急伸していますね。中国を抜いて、いずれインドが世界最大の人口大国になると容易に想像がつきます。国際連合は「2027年に逆転する」という予測を出しています。その他の人口大国、そして日本はどうでしょうか?