スタンフォード大学・オンラインハイスクールはオンラインにもかかわらず、全米トップ10の常連で、2020年は全米の大学進学校1位となった。
世界最高峰の中1から高3の天才児、計900人(30ヵ国)がリアルタイムのオンラインセミナーで学んでいる。
そのトップがオンライン教育の世界的リーダーでもある星友啓校長だ。
全米トップ校の白熱授業を再現。予測不可能な時代に、シリコンバレーの中心でエリートたちが密かに学ぶ最高の生存戦略を初公開した、星校長のデビュー作『スタンフォード式生き抜く力』が話題となり、ロングセラーとなっている。
ベストセラー作家で“日本一のマーケッター(マーケティングの世界的権威・ECHO賞国際審査員)”と評された神田昌典氏も「現代版『武士道』というべき本。新しい時代に必要な教育が日本人によって示されたと記憶される本になる」と語った本とは一体なにか。
このたび星校長とニュージーランド生まれで25大学に合格し、スタンフォード大学史上最年少成績優秀者となったジェイミー・ビートン氏が初対談。日本人が知らないリーダーシップの原点とは?(これまでの人気連載はこちら)。
ニュージーランド初の教育ユニコーン!?
星友啓(以下、星):前回は全世界に展開しているクリムゾン・エデュケーション(Crimson Education、以下、クリムゾン)のコアビジネスである大学受験サポートについてお話を伺いました。
今日は、急成長してきたスタートアップ企業としてのクリムゾンに焦点を当てていきましょう。
クリムゾンはこの8年で著しく成長しましたね。
ジェイミー・ビートン(以下、ジェイミー):はい、2013年設立以来、おかげさまで、コンスタントに成長してきました。
小さなオフィスで僕ともう一人の共同創設者の2人で始めたものが、今や400人以上の従業員、トップ大学出身の何千人のメンター陣、約20ヵ国にも進出しました。
大学出願サポート事業ではUS News, Times Higher Educationなどとのパートナーシップを組むことができ、約350人をアイビーリーグ校に、約130人をオックスブリッジに入学させることに成功しました。
オンラインインターナショナルスクール事業では、教育界のベテランで国王から勲章を授章しているJohn Morris氏を校長に、英米外に住んでいる生徒でも海外進学で通用するスキルやカリキュラムを修了できるような機会を提供しています。
世界的なEdTechリーダーである星さんにもアドバイスいただきまして、ありがとうございます。
ニュージーランド、1995年生まれ。高校はニュージーランドのオークランドにあるKing's Collegeに通い、高校5年間常にトップの成績をおさめる。
大学出願時にアメリカやイギリスの25の大学に出願し、全大学に合格(ニュージーランド史上初)。25校にはハーバード、イェール、プリンストン、ケンブリッジ、スタンフォード、コロンビア大学などが含まれている。
最終的にハーバード大学に進学することを決意し、学部(応用数学と経済学)と大学院(応用数学)を通常5年かかるところをわずか3年でMagna Cum Laude(成績優秀者)として卒業。
その後、若干20歳(史上最年少)でStanford Graduate School of Business(MBAと教育学修士のJoint Degree)に入学。あわせて2018年からは世界最古の名誉あるフェローシップRhodes Scholarshipの奨学生としてオックスフォード大学博士課程(Philosophy in Public Policy)に進学。
MBAと教育学修士と博士課程での研究を並列で進めながら、2019年6月にはスタンフォード大学を史上最年少のArjay Miller Scholar(成績優秀者)として卒業。MBAと教育学修士の両学位を取得する。
海外進学や出願にかける思いと情熱からハーバード大学在学中からアメリカやイギリスへの海外進学を希望する受験生を支援するCrimson Educationを立ち上げ、これまで数千人の出願者の成功を導いてきている。
2017年には「Forbes Asia 30 Under 30」に選ばれ、その他数多くの賞を表彰されている。
星:現在の時価総額は2億4000万ドル(約260億円)でしたか。
ここ数年の教育界でもユニコーン企業がアメリカや中国などで生まれていますが、ニュージーランド初の教育ユニコーンを目指したいですね。
先日は、アメリカの超有名ベンチャー投資のGSV(グローバル・シリコンバレー社)に世界の有望教育企業として名を連ねてましたね。
そんなクリムゾンの成功の秘訣はなんですか?
英米大学出願者が少ない
ニッチマーケットを狙う
ジェイミー:まず、いえるのが、英米外の生徒がトップ大学に合格する費用対効果と、それを生徒や生徒の家族が理解しているということです。
たとえば、ニュージーランドの公立高に通っていた男子生徒はクリムゾンのサポートを受け、カルフォルニア工科大学に進学しました。
大学卒業後はグーグルに入社し、その中でも一番勢いのある部門で活躍し、その後NASAに、そして現在はTeslaからシリコンバレーで数十万ドル(数千万円)稼いでとてもよい暮らしをしています。
もしニュージーランドで就職したとすると、その50%は収入が減少することでしょう。この生徒と同じように今まで何千人ものの生徒を世界トップ大学に送り出すことによって、彼らは家族や地域に還元することができるのです。
ニュージーランドや日本のように、英米大学出願者が少ないニッチなマーケットを狙うことで、今の成功を手に入れられたと考えています。
星:アメリカやイギリスの有名大学に入学するインパクトは、キャリアが多様化する現代においても変わらないですね。
ジェイミー:はい、また、クリムゾンのこれまでの成長は、私たちのミッションの核である「生徒の成果」を最優先していることです。
一人ひとりに寄り添い、彼らの目標達成するために全力でサポートします。
それにより、実際によい結果が出ています。
あと、クリムゾンのスタッフの多くが、実際にトップスクール出身ということもあり、非常に高い視座で子どもたちのポテンシャルを引き出すことができるのも強みの一つです。
最後に、設立当初から支援してくださった投資家のみなさんおかげで、より速いスピードで成長を遂げることができました。