長期化するコロナ禍で気持ち的にも疲弊しがちな日々。精神科医の鹿目将至先生によると、特に最近の患者さんは「不安と焦り」がセットになっているケースが多いそうです。いつまでも続く「不安」とこのままではだめだという「焦り」をどうしたら和らげることができるでしょうか。実は、鹿目先生もご自身曰く「度を越した心配性」で、いつもいらない荷物でパンパンにふくらんだリュックを背負っていることから、“カタツムリ精神科医”と呼ばれている一面も。そこで今回は、鹿目先生の新刊『「もうもたない…」折れそうでも大丈夫』(青春出版社)から、著者自身も実践している「心が軽くなるヒント」を抜粋紹介します。
わからないことは「いったん保留!」のすすめ
世の中には答えがすぐに出ないこと、たくさんありますよね。やってみなければわからないことや、わかるまでに時間がかかること、時間をかけるほどいい結果が出ること。そんなことばかり。
精神科医になる前の僕は、それがすごくストレスだったんです。わからないことは今すぐ知りたくて、「悩む」こと自体がとてもストレスでした。答えが出ないままクヨクヨ悩み続けると、もうクタクタ。焦って「えいや!」で生煮えの答えを出して、失敗することもよくありました。
特に、精神科の治療法は患者さんによって個人差が大きいし、治療する先生によっても得意・不得意、合う・合わないがあるのでわかるはずもないんです。やってみなければわからない。時間をかけてじっくり患者さんと向き合わなければならない。