韓国で120万部のミリオンセラーとなった話題書がある。『どうかご自愛ください ~精神科医が教える自尊感情回復レッスン』というタイトルの本だ。精神科医である著者が「自尊感情(≒自己肯定感)」の回復法を指南した一冊である。「些細な事を気にしすぎる」「パートナーとの喧嘩が絶えない」「すぐに人と比べて落ち込む」「やる気が出ない」「ゆううつ感に悩んでいる」など、人々が抱える悩みのほとんどは自尊感情の低下が原因だと本書は伝えている。そして、その回復法を教えてくれる。
本書の日本版が、ついに7月14日に刊行となった。その刊行を記念して、本書の一部を特別に紹介する。今回は、「他人の言動を気にしすぎる繊細な人へのアドバイス」について触れた内容を紹介していこう。

繊細すぎる人が実践したい「気にしない練習」とは?Photo:Adobe Stock

家族も友人も、結局は他人

 他人の言動に繊細、神経質すぎる人は、まずは「自分と他人を分けて考える練習」から始めるべきです。他人の範囲はとても広いです。自分以外はみな他人です。家族も友人も、会社の同僚も他人です。

 親子間で摩擦が絶えない理由も、この点が忘れられがちだからです。親は自分が生み育てた子どものことを、つい自分の一部と考えがちです。だから、子どもの問題にもいちいち口を出してしまいます。

 同様に、子どもは親に要求し、施されるのが当然だと考えがちです。母親だから子どもに献身的であるべきだとか、父親だから子どもを信じるべきだと勝手に期待するのです。しかし、親も子どもの親である以前に、この世を必死で生きてきて老いつつある一人の人間なのです。

 幸せに生きるためには、他人のことを他人のこととして放っておく習慣をつけるべきです。他人が言った言葉や行動を何度も思い返し、自分が被害を被ったと考え続ける限り、幸せは遠のきます。

他人の感情をどうにかしようとしない

 もちろん、他人に対していつも無関心ではいけません。この世界には力を合わせるべきときもあります。また、愛する関係においては適切な関心と愛情なくして幸せを享受することもできません。

 重要なことは、他人の感情はその人に任せておくべきという点です。人によって、急所も笑いのツボも違うように、「そんなことで気分を害するの?」などという言葉もまったく意味がありません。他人に関心をもって助け合うことは何ら問題はありません。ただし、その相手の感情を変えようとか、自分のものにしようとは思わないことです。

 相手が怒ろうが、自分が疑われようが、それはあくまでその人の感情であるだけです。相手が腹を立てたからと、こちらまで腹を立てる必要はなく、いちいちそこに巻き込まれたり、悩んだりする必要はありません。他人の感情は他人のものです。

(本原稿は、ユン・ホンギュン著、岡崎暢子訳『どうかご自愛ください』からの抜粋です)

ユン・ホンギュン
自尊感情専門家、ユン・ホンギュン精神健康医学科医院院長
中央大学校医科大学を卒業し、同大学医科大学院で博士課程を修了。京郷新聞、韓国日報、月刊生老病死などへの寄稿のほか、FMラジオ交通放送「耳で聞く処方箋」などの相談医としても活躍。韓国依存精神医学会、韓国賭博問題管理センター、中央大学ゲーム過没入センター、性依存心理治療協会、校内暴力防止のための100人の精神科医師会などで活動。主に関心を寄せている分野は「自尊感情」と「依存」。初の著書『どうかご自愛ください ~精神科医が教える「自尊感情」回復レッスン』が韓国で120万部のミリオンセラーに。