では、仕組みごと変えるにはどうすればいいのでしょうか?それは政治を変えることです。「ホワイトバンドプロジェクト」は、まさにそれ。2005年7月にイギリスのグレンイーグルズで開かれようとしていたG8サミット(主要国首脳会議)に向け、貧困問題に対する「世論」を醸成することが目的の運動でした。

ホワイトバンド運動は約11兆円分の効果を生んだ

 私がホワイトバンド運動の動画に感銘を受けたとき、日本での「ホワイトバンドプロジェクト」は、いくつかのNGO・NPOで構成されている『「ほっとけない 世界のまずしさキャンペーン」実行委員会』が中心となって、キャンペーン展開がスタートしつつあるところでした。

 しかし、圧倒的にお金がありません。新聞などに広告を打ったり、印刷物を作ったりする費用はもちろん、その活動資金を集めるために販売するホワイトバンドの制作や流通ノウハウ、なによりそれらを世間に知らしめるPRノウハウを、彼らは持ち合わせていませんでした。私たちはそこをサポートしたのです。

 その時点で、G8サミット開催まで数カ月しかありませんでしたが、私たちはまず日本版のホワイトバンドのフィルムを作り、たくさんの文化人やアーティスト、アスリートに登場してもらいました。

 そうしてG8サミット開催に間に合う形で日本でのホワイトバンドを発売。初回生産の30万本は即完売しました。PRは私たちの得意とするところなので、ホワイトバンドをつけている中田英寿の写真を新聞に掲載してもらい、話題になりました。

 テレビのニュースや雑誌などで「中田も賛同しているキャンペーン」として紹介されたことで、クリエイターやアーティストがキャンペーンに賛同してくださり、キャンペーン動画に参加してくれました。ホワイトバンドをつける著名人も増え、街にはホワイトバンドをつけて歩く人の姿も見られるようになりました。

 日本でのホワイトバンドは、最終的に600万本近くにもなる、とてつもない本数を売り上げました。キャンペーンの効果は如実に表れました。

 2005年7月、イギリスのグレンイーグルズで行われたG8サミットでは、貧困問を中心に話し合いが行われ、アフリカへのODA(政府開発援助)を、500億ドル(当時のドル円レートで、約5兆円)増額することが決定されます。