著者はハーバード大学とスタンフォード大学に計11年在籍し、世界的権威の2大科学誌『ネイチャー』『サイエンス』に論文が掲載されたスーパードクターだ。
帰国後、東京・錦糸町に「眼科 かじわらアイ・ケア・クリニック」を開設するやいなや、地元だけでなく、噂を聞きつけて全国各地から来院する患者が後を立たない。そんなカリスマ名医の初の著書『ハーバード × スタンフォードの眼科医が教える 放っておくと怖い目の症状25』から、誤解だらけの目の常識と自宅で気軽にできる一生モノの目の健康法を科学的な事実に基づいてお伝えする。
目がかゆい
Q
花粉症で、目玉をとり出して洗いたくなるほど、かゆくなるときがあります。
A
「目がかゆい」と訴える患者さんのほとんどは、花粉症のようなアレルギーによって起こる結膜炎が原因です。アレルギーには、ハウスダストなどが原因の通年起こるかゆみと、花粉のように季節的なものがあります。
Q
アレルギー用の目薬を使っても、かゆみがぜんぜん治まらないんです。
A
花粉症などのアレルギーの場合、粘膜の表面や体内でかゆみの原因となるいくつもの反応が起こっています。小さな滝がいくつにも分かれて流れ落ちるように、次から次へと連鎖的に増幅されていくので「カスケード(滝)反応」と呼ばれています。たとえ1つの反応を抑えても、ほかの滝は活動していますから、かゆみがなかなか治まらないんです。
そのため私のクリニックでは、たいてい2種類以上の目薬を処方しています。1つの目薬でかゆみの信号が出るのをブロックして、もう1つの目薬でかゆみの信号が別の細胞にくっつくのを防ぐなど、あちこちからかゆみの原因をとり除くのです。
Q
目薬って、いくつかの種類を使っても大丈夫なんですか!?
A
眼科では、効果的な成分や副作用が重ならないように、きちんと考えて処方しますから、問題ありません。ただし、それぞれがきちんと浸透するよう、なるべく5分ほど間隔を空けて使用してください。
また、市販のアレルギー用の目薬を何種類も使っても、異なる原因にしっかり働きかけるとは限りません。目を1日中こすらなければならないほどのかゆみがあるなら、眼科で目薬を処方してもらうほうが効果的でしょう。
Q
花粉の時期でなくても、ときどき目がかゆくなることがあります。
A
アレルギー性結膜炎以外のウイルスや細菌による感染性の軽度な結膜炎の場合、かゆみのほか、目やに、充血などの症状も現れます。
また、冬になると皮膚が乾燥してかゆくなるように、目も乾燥するとかゆみを感じることがあります。室内ではエアコンの風に直接あたるのを避けたり、こまめにまばたきをしたり目を閉じたりして乾燥を防ぎましょう。
コンタクトレンズの不適切な使用でかゆみが出るケースも非常に多いです。汚れが落とし切れていないためにアレルギーを起こしたり、細菌感染の原因になったり、長時間の装用で涙が蒸発しやすくなって乾燥したりして、かゆみを引き起こします。
コンタクトレンズはどれだけ丁寧にケアしても、涙に含まれるタンパク質や脂質などの汚れがこびりつきやすいもの。かゆみなどのトラブルを防ぐためには、1日で使い捨てるワンデータイプがいいです。
でも、「どうせ捨てるから」と長時間装用しすぎることで、汚れがこびりつきかゆみが出ることもありますから、必要以上に長い時間使わないようにしましょう。
「目のかゆみ」を感じたら
●乾燥によるかゆみの場合、まばたきの回数を増やしたり目を閉じたりする。
●エアコンの風が直接、目にあたるのを避ける。
●保湿成分の入った目薬をさしてみる。
●コンタクトレンズを「使い捨てタイプ」にする。
*感染性の結膜炎が疑われるときは速やかに眼科を受診