バイデン米政権は中国との覇権争いで、地味な政府機関である対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を拡充し、重点的に活用していく方針だ。CFIUSは、外国資本による米企業の合併・買収(M&A)案件について、国家安全保障上の懸念がないかを審査する政府省庁間の組織で、財務省が率いている。バイデン政権では、同盟国が設置した類似の審査組織との間で情報共有を行うほか、政権が重視するサプライチェーン(供給網)などの問題について、一段と厳密に追及する構えだ。6月には、中国投資家による韓国の半導体会社マグナチップ・セミコンダクターの買収計画を審査するため、保留を命じた。CFIUSは権限を強化するとともに、トランプ政権から受け継いだ中国を標的とする姿勢をさらに鮮明にする。