アマゾン・ドット・コムによる映画製作会社MGMへの買収提案は、普通なら反トラスト法(独禁法)上の懸念をほとんどもたらさないはずだ。MGMの興行収入のシェアは極めて小さく、アマゾンの娯楽分野の事業規模も比較的小さい。しかし、もちろんアマゾンは映画製作以外に多くの事業を展開しており、電子商取引とクラウドコンピューティングで米最大の企業であり、書籍・ビデオ・音楽販売で支配的地位にある。同社の創業者で取締役会長のジェフ・ベゾス氏は、ワシントン・ポスト紙のオーナーでもある。つまりアマゾンとベゾス氏は、総体として経済的・文化的影響力の著しい集中の象徴となっている。新世代の独禁当局者らにとって、こうした状況への懸念は買収・合併がもたらすかもしれない効率面のメリットよりも大きい。