景気回復が進む中、新型コロナウイルス禍を受けて企業が借り入れた債務の額は投資家にとって重要な指標となっている。ただ、その計算方法については意見が割れている。英資産運用会社ジャナス・ヘンダーソンが7日発表したデータによると、世界の企業債務総額は2020年に過去最高の13兆5000億ドル(約1490兆円)へ急増したが、21年上半期は1%増にとどまった。一見すると、これは借り入れブーム後によくあるデレバレッジ(負債圧縮)期間の始まりに見える。だが、それほど単純な話ではない。なぜなら、企業は多額の現金を調達したが、それを使っていないからだ。米国では、政府支援のおかげで企業は債務以上に流動資産を積み上げることができた。つまり、「純負債」の水準はそれほど増えていないということだ。これは米連邦準備制度理事会(FRB)の統計で明らかになっている。同じことが世界中で起きているとみられ、新興国も例外ではない。
純負債と総負債、投資家はどちらを見るべきか
企業負債の見方によって世界経済の見通しも変わる
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