足元の原油価格の上昇が、世界経済の回復に急ブレーキをかける可能性は低そうだ。エコノミストは力強い成長や先進国の家計が潤っていることで、原油高の打撃を十分に吸収できると指摘している。世界的な原油需要の高まりや、供給量を巡る石油輸出国機構(OPEC)内外の産油国による対立で、原油先物は今月に入り、バレル当たり75ドルを突破した。これは6年ぶりの高値水準だ。その後は押し戻されているが、8日の取引でも70ドルの節目を上回っており、ほぼ2018年秋の水準に戻っている。原油高による負担を見極める上で目安の1つとなるのが、国内総生産(GDP)に占める原油コストの比率だ。これは原油による成長への影響を測る指標ともなる。モルガン・スタンレーの分析では今年の原油価格が平均バレル当たり75ドルだった場合、2021年は世界のGDP比で2.8%に上昇すると予想されている。ただ、長期平均の3.2%は依然として下回るという。