まず、「頑張ればなんとかなる」と、さまざまな方法で働きかけることだ。これは逆効果になってしまう場合もある。本人の能力や状況を理解せずに関わってしまうと、本人には厳しい指導と感じられるばかりで、よい結果は望めない。

 次に、「もう頑張れないだろう」と受け止め、無理をさせないようにすること。そうすると、本人は頑張れる場面であっても頑張らなくなり、いつまでも自己イメージが低いままで、チャンスを逃してしまう。

 最後に、頑張れない行動の背景を考えて付き合っていくこと。これが一番望ましいが、支援者は一人で抱え込まないように気をつけたい。支援者の「一人きりではない」という感覚こそが本人を応援する気持ちにつながる。長期間関わってくれる安心感から、本人も徐々に支援者と信頼関係を築くことができるだろう。

◇支援者が提供できる3つのもの

「頑張れない行動の背景を考え、付き合っていくこと」ができれば理想的だが、そう簡単ではない。手ごたえのなさに「こんなにやっているのに……」という怒りが湧き出てきたり、他の支援者から「それはあなたのやり方が悪いのでは?」と言われたりして、惨めな気持ちになることもあるだろう。しかしこれ以外に、頑張れない人を支援する方法はない。

 では、相手のやる気をどうやって引き出すか。支援者が提供できるのは、「安心の土台」「伴走者」「チャレンジできる環境」の3つである。本当に困っているときに助けてあげられる存在でいること、相手が新しいことにチャレンジできるように様子を見守ること、そして新しい場所や職場、学校を提供すること。この3つがそろって初めて、頑張れない人は変わっていくのだ。