ルノアールPhoto:PIXTA

企業の手元資金である資本金が多いほど「事業の規模が大きく、安定した経営をしている会社」という印象を与えることは言うまでもない。そのため、資本金は売り上げ規模と同様に企業の社会的な信用を表し、その大きさは企業の規模や体力の目安になるとされてきた。しかし、近年は大企業=資本金が大きいという図式が崩れつつある。(帝国データバンク情報部 阿部成伸)

有名な上場大企業が
減資で「中小企業」に

 帝国データバンクが減資を行っている上場企業について調査を実施したところ、2021年は5月末までに81社が(うち2社は同期間で2回)減資を行っていることが判明した。

 近年の動向を振り返ると、2019年が46社(5月末までで31社)、2020年が86社(同40社)だったので、倍増する勢いで増え続けていることになる。

 各社は減資に関するリリース資料の中で減資を行う理由について説明しているが、ほとんどが剰余金への振替による、欠損補填や資本政策の柔軟性・機動性の確保となっている。そして、第三者割当増資と合わせて「増減資」という形をとるケースが多い。