「10%ポイント還元、送料無料を今後ずっとやります。我々はどこよりもお得なサイトを目指します」
ブランド衣料のファッションECサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイは10月31日、商品購入時のポイント還元率を1%から10%に引き上げると同時に、1万円以上の購入に限っていた送料無料の特典を、すべての買い物に拡大すると発表した。消費者は大歓迎だろうが、ファッションECサイト業界でトップの同社が大盤振る舞いのサービスを突然始めたことに、ライバル各社は困惑している。「激しい価格競争に突入すれば他のサービスが疎かになり、業界の健全な発展にはマイナスではないか」と危惧する声もある。
10月31日の2013年3月期第2四半期決算説明会の席で、前澤友作社長が新サービスの導入を高らかに宣言すると、出席していたアナリストらからは驚きの声が上がった。サービスは発表翌日の11月1日から早速始まった。
同社がサービス導入を決断した理由は2つある。
1つはツイッターを巡る騒動への対応だ。前澤社長は10月20日頃、ツイッターに送料が高いと書いた一般人に対して、「ただで商品が届くと思うんじゃねぇよ」などとコメント。これがネット上で批判の対象となり、株価まで下落した。前澤社長は決算会見で、「心を入れ替えて適切な発言をします。申し訳ありませんでした」と謝罪し、その直後に送料の無料化などを発表。「ゾゾタウンは生まれ変わります」と宣言した。
ただ、送料無料については数年前にも1年間に限って導入していた。ライバルであるアマゾンが送料無料を2010年から導入していることもあり、規定路線だったものを今回の騒動が背中を押した格好だ。
決断のもう1つの理由は、ゾゾタウンの成長率が鈍化していることにある。対前年同月の商品取扱高が約50%増という高い成長率を誇ってきたが、今春以降は急激に成長率が鈍化し、今第2四半期は21%増にとどまっていた。打開策として9月に開催したリアルイベントである展示会「ゾゾコレ」も、「一回目としては成功」(前澤社長)としているが、集客は目標の2~3万人には届かず1万人にとどまった。予約取扱高は1.5億円と、今第2四半期の商品取扱高408億円に比べると規模が小さく、収益にはあまり結びつかなかった。