コロナ感染再拡大で「K字型」経済へ、格差拡大の深刻リスクPhoto:PIXTA

コロナウイルスの変異株は、世界経済全体にとって間違いなく最大のリスクだ。変異株による感染再拡大は、格差の拡大をはじめとする経済の二極化(K字型の景気回復)を加速させる。コロナ禍が世界の変化を加速させ、過去の経験則や常識が当てはまりづらくなっている。経済格差やデジタル化のスピード、製造業と非製造業の景況感の差が深刻だ。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

製造業と非・製造業の景況感に格差
「二極化」が深刻

 新型コロナウイルスの感染再拡大によって、世界的に経済の先行きの不透明感と金融市場の不安定感が高まっている。コロナウイルスの変異株は、世界経済全体にとって間違いなく最大のリスクだ。一時、感染一服感もあり、世界経済の先行きに楽観的な見方が台頭していたこともあり、米国を中心に各国の株式市場が高値圏で推移してきた。どうしても利益確定の売りが出やすく、株価は不安定な展開になりやすかった。

 株価の短期的な変動よりも重要なことは、コロナ禍が世界経済の変化を加速させ、過去の経験則や常識が当てはまりづらくなっていることだ。感染の再拡大はその勢いを強める。経済格差やデジタル化のスピード、製造業と非製造業の景況感の差といった「二極化」が深刻だ。変異株による感染再拡大は、世界経済の景気循環や物価にも影響する。

 各国のワクチン接種率にかなりの差があるだけに、感染再拡大の影響は冷静に考えたほうが良い。特に、わが国経済を取り巻く不確実性は一段と高まっている。感染の再拡大が長引けば、人々の防衛本能は強まり、無意識のうちにリスク回避の心理が先行するようになるだろう。それがわが国経済の潜在成長率に与える影響は軽視できない。