「動くピクトグラム」の残像色濃い、東京五輪の開会式。しかし、テーマである「多様性」と「調和」が感じられなかったのはなぜか。日本にとって痛手となった開会式を振り返る。そして、この人権意識の低い日本を変えるには、若い世代の力に期待するしかない。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)
開会式、「逆身体検査」のような人選になっていた?
開会式直前に、楽曲担当・小山田圭吾氏の辞任に続き、文化イベントに出演予定だった絵本作家・のぶみ氏も辞任、小林賢太郎氏が大会組織委員会から解任された。
次々と大会のクリエイターが辞めていく事態に、その「人選」をした大会組織委員会が批判されている。「身体検査」が甘すぎたのではないかというのだ。
しかし、私は、「逆身体検査」のような人選になっていたのではないかと思う。人権侵害、人種差別、民族蔑視などに反対してきた人や、女性、LGBT、障がい者などの権利拡大に熱心に活動してきた人たちをむしろ「言動が危険な人物」として、クリエイターの候補者から外してきたのではないかということだ。