ダイヤモンド社刊 1890円(税込) |
「将来いかなる製品やプロセスが必要になるかを予測しても意味はない。しかし、製品やプロセスについて、いかなるビジョンを実現するかを決意し、そのようなビジョンの上に、今日とは違う事業を築くことは可能である」(『創造する経営者』)
大きなビジョンである必要はないと、ドラッカーは言う。しかし、今日の常識とは違うものでなければならない。
起業家的なビジョンの基礎となるものは、経済、市場、知識におけるいかなる変化が、わが社の望む事業を可能とし、最大の経済的成果を可能にするかとの問いである。
事業上のビジョンは、より限定された世界のものではあっても、その多くが世の中に実質的な影響を与える。
したがって、イノベーションを行なう企業人こそ、全体として見るならば、歴史家たちが認識しているよりもはるかに大きな影響を人類の歴史に与える。歴史をつくるのは、政治家、軍人、哲学者ではない。一人ひとりの働く人間だ、とドラッカーは繰り返し言う。
しかも、起業家的なビジョンは、社会や知識のすべての領域にわたるものではなく、一つの狭い領域についてのものであるという事実にこそ、活力の源泉がある。
「未来において何かを起こすということは、新しい事業をつくり出すということである。新しい経済、新しい技術、新しい社会についてのビジョンを、事業として実現するということである」(『創造する経営者』)