また「政界再編」という言葉が、政治家の口から発せられるようになった。「政界再編」とは、新しい政策や理念を軸に政党の離合集散が起こり、新たな政治勢力に再編成されることだ。日本政治の問題点は、自民党でも民主党でも、党内に思想信条が一致しない政治家たちが同居しているために、政党としての政策の軸が定まらず党利党略で動いてしまい、政策中心の政治が実現しないことだとされる。その解決には、思想信条が一致する政治家同士で政党を組み直すことが必要だというのが「政界再編論」である。新年第1回は、この「政界再編」について書いてみたい。
「政界再編」と「政権交代」は
どこが違うのか
現在政治家が使う「政界再編」という言葉は、その本来の意味から逸脱している。この言葉を使うのが、主に「既得権側にいる人たち」だからだ。彼らが使う「政界再編」には、与党政治家や官僚が、政党のメンバー構成を少し組み替えるだけで、既得権を維持したまま生き残りたいというニュアンスがある。また、「野党・民主党の分裂」という彼らの願望も含まれている。
一方、野党側は「政界再編」と言わず、「政権交代」という言葉を好んでいる。「政権交代」とは、自民党を下野させて官僚の長年の癒着関係を解体し、既得権益を打破することを目指すものだ。
私は、この「政界再編」と「政権交代」という2つの言葉は、約20年前に海部内閣の政治改革で、「選挙制度改革」が争点となった時から、日本政治の対立軸を示すキーワードだと考えている。
「政界再編」を望む勢力と
「政権交代」を望む勢力
「政治改革」が政治課題となったのは、竹下内閣がリクルート事件で総辞職した後、自民党政権の基盤が揺らぎ始めた時だ。これに対して自民党内では2つの処方箋が考えられた。1つは、「政権交代のある二大政党制の実現が、日本の民主主義を成熟させる」という考えであり、二大政党への収斂と政権交代が起こる可能性を高める「小選挙区制」の導入だった。