今後伸びていく政党は、政治に無関心な人々を目覚めさせた、参政党とチームみらい【佐藤優】2025年7月21日未明、参議院議員選挙の開票センターで笑顔を見せる参政党の神谷宗幣代表 Photo:JIJI

先の参議院議員選挙で、参政党が14議席を得て躍進しました。比例代表では、国民民主党に次ぐ742万5000票余りを獲得した参政党の本質、そして自民党と公明党が大敗した理由とは?(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)

議員の大多数は「普通の市民」
“反ワクチン”の参政党

 先の参議院議員選挙で、参政党が14議席を得て躍進しました。比例代表では得票率12.5%で、国民民主党に次ぐ742万5000票余りを獲得しました。この票数は、野党第1党である立憲民主党を上回ります。

 参政党を分析するとき、右派政党だと決め付けたら本質を見誤ります。

 各党の比例代表の当選者リストを見ると、自民党も立憲民主党も国民民主党も、多くの当選者の背後にはさまざまな業界団体の支援があることが分かります。ところが参政党の当選者には、そうした団体が付いていません。つまり参政党の国会議員の大多数は「普通の市民」なのです。

 参政党の内実は、反ワクチンをベースとする身体性と結び付いた排外主義(ショーヴィニズム)政党です。参院選では「日本人ファースト」を掲げて支持を拡大しましたが、結党初期から新型コロナウイルスワクチン接種推奨の是正を掲げています。

 ワクチンという外部の物質が体内に侵入することを嫌悪する身体的な排外主義なので、党の政策として「化学物質や食品添加物を削減した給食を提供する」ことを掲げており、参院選でも食品添加物によってADHD(注意欠陥多動性障害)やアトピー性皮膚炎になるといった説を訴える候補者がいました。「外来のものの影響でわれわれはひどい目に遭っている」という感覚の下に集まっていて、そうした被害者意識のシンボリックな存在がワクチンなのです。