ドイツのセンタードイツのライプチヒにあるアマゾンの物流センター Photo by Masuo Yokota

ドイツのネットメディアの最大手が2018年4月に行った公開討論で、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスは、過去5年以上にわたりストライキがつづくドイツの物流センターの労働問題と組合運動の必要性について問われると、「アマゾンはドイツで、約1万6000人を雇用しており、彼らに支払っている給与も業界水準からすると高いと認識しています。アマゾンは労働者と非常にいい形でコミュニケーションがとれているので、組合がわれわれと労働者の仲介役となる必要はないと考えています」と胸を張って答えている。果たして、このベゾスの発言はどこまで真実なのだろうか。
※本稿は、横田増生著『潜入ルポamazon帝国』(小学館)の一部を再編集したものです。

国際労働組合総連合が
ベゾスを「世界最悪の経営者」

 潜入取材を行った各国の記者が、口をそろえて酷評するアマゾンの物流センターでのアルバイト体験。こうした辛辣な言葉が事実に即していることは、国際機関によってお墨付きを得ている。労働組合の国際組織、国際労働組合総連合(ITUC)は2014年、ベゾスを「世界最悪の経営者」に選んでいる。その理由は、物流センターの労働者が1日24キロを歩き、アマゾンが労働者を「ロボットのように扱っている」からだ。

 こうした潜入取材をはじめとした、物流センターの労働に向けられた数々の批判に対し、当のベゾスは、どう考えているのか。

 ドイツのネットメディアの最大手《アクセル・シュプリンガー》が、18年4月に行った公開討論で、ベゾスは、過去5年以上にわたりストライキがつづくドイツの物流センターの労働問題と組合運動の必要性について問われると、

「私は物流センターの労働環境に関して非常に誇りに思えるほど素晴らしいものだと考えています。アマゾンはドイツで、約1万6000人を雇用しており、彼らに支払っている給与も業界水準からすると高いと認識しています。〈中略〉アマゾンは労働者と非常にいい形でコミュニケーションがとれているので、組合がわれわれと労働者の仲介役となる必要はないと考えています。もちろん、最終的にそれについて決めるのは労働者なのですけれども」と彼は胸を張って答えている。

 果たして、このベゾスの発言はどこまで真実なのだろうか。