2020年度の国の一般会計決算で、税収は60.8兆円で過去最高となった。本来、名目GDPに比例するはずの税収が、コロナ不況下でGDPが下落する中で増加に転じたのはなぜか、要因を探った。(名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰)
不況下でも消費税、法人税の税収が増加
コロナ不況下にもかかわらず税収が過去最高になったことが話題になっている(例えば、「20年度税収 コロナ禍でも過去最高 筆頭は消費税」朝日新聞2021年7月6日など各紙。原資料は財務省「2020年度の一般会計決算概要」2021年7月5日)。
税収は、総額では2019年度の58.4兆円から60.8兆円と2.4兆円増加した。基幹3税の消費税、法人税、所得税もそれぞれ19年度の18.4兆円から21.0兆円に、10.8兆円から11.2兆円に、19.2兆円から19.2兆円(0.02兆円の増加)に増加した。なぜ、不況下にもかかわらず税収が増加したのだろうか。