世界はフラットで凸凹で、
そして、ちょっと窮屈
先の東京オリンピックでの(テレビでの)観戦を通じて、私たちは世界ときちんと繋がり、世界の人たちと感動を共有した。その意味で、私たちの世界はとてもフラットだ。
しかしコロナ禍は、ワクチン接種を進め、早々とロックダウンを解除した国。強烈な国境封鎖と感染者追跡によって感染者数を押さえ込みマスクもしない暮らしを維持する国。小出しのコロナ対策で一向に感染者数が減少しない国など、各国の違いをまざまざと浮き彫りにしている。この点に注目すると、私たちの世界はフラットというよりもデコボコ(凸凹)だ。
ブレイディ・みかこさんのベストセラー『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、日本人の著者とアイルランド人の夫との間に生まれた息子が、英国の中学校で送る日常から見える英国と日本、そして社会全体の問題を鮮やかに描き出して大変な反響を呼んだ。私たちが暮らす現在を、彼女の本のタイトルになぞらえて表現すると、「僕たちの世界はフラットで凸凹で、ちょっと窮屈」といったところか。