キオクシアと米WD、合併望む投資家Photo:SOPA Images/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 合併・買収(M&A)を巡る報道を手掛かりに、買い手候補の企業と買われる見込みの企業、さらに同業他社の株価がそろって上昇することはあまりない。だが米半導体メモリー大手ウエスタンデジタル(WD)が同業キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)を買収する方向で交渉中で、協議が進んだ段階にあるとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じると、その現象が起きた。市場の反応は今回の取引の論理を裏付けている。

 WDが早ければ来月にも200億ドル(約2兆2000億円)超でキオクシアを買収することで合意する可能性があるとWSJが報道した後、WD株は25日に7%急伸した。キオクシア株4割を保有する東芝の株価は26日に1.7%上昇した。米同業マイクロン・テクノロジーは25日の取引で2.9%値上がりした。マイクロンもキオクシアの買収を視野に入れていたが、その後関心が薄れている。

 買収に全額株式交換方式が採用されれば、WD株の価値は希薄化することになる。だが既存株主は、WDが買収のために多額の債務を背負い込む必要がない点に安堵(あんど)しそうだ。25日の株価上昇の後でも、WDの時価総額は200億ドルをわずかに上回る水準にとどまっている。