黒字リストラの恐怖!部長&課長を襲う希望退職と役職定年の絶望 出世・給料の残酷Photo:PIXTA

三菱電機やパナソニック ホールディングスなど、国内大手企業が続々と「黒字リストラ」に踏み切っている。人手不足が叫ばれる中にあっても、あえて人員削減に踏み切るのはなぜなのだろうか。特集『黒字リストラの恐怖!部長&課長を襲う希望退職と役職定年の絶望 出世・給料の残酷』の本稿では、現役の社員や役員、専門家の声を取り上げながら、黒字リストラを断行する企業の真意に迫るとともに、昨今の「黒字リストラブーム」が若年層に及ぼす影響を分析する。(人事ジャーナリスト 溝上憲文)

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三菱電機やパナソニックが「早期退職」を断行
“応募者殺到”で業績予想を下方修正する事態に

 黒字経営にもかかわらず人員削減を行う“黒字リストラ”が常態化している。最近では、2025年12月期決算で純利益が大幅増となった住友重機械工業が今年2月10日、55歳以上65歳未満の社員を対象に500人の希望退職者募集の実施を発表している(下図参照)。

 これを上回る規模の早期退職者募集を実施している黒字企業がパナソニック ホールディングス(HD)と三菱電機であるが、応募者がさらに増える見込みだ。国内外1万人の人員を削減するとしていたパナソニックHDは2月4日、26年3月期の連結純利益が従来予想を下回る2400億円になりそうだと発表した。その原因の一つに、早期退職者募集の応募者が想定の1万人を上回り、1万2000人に増えることがあるとしている。

 三菱電機は当初から募集人数を定めていなかったが、実際の早期退職者の人数は26年3月期に約4700人(単体2378人)になる見通しを示している。同社は2月3日、26年3月期の連結純利益を下方修正した。その主要因は希望退職費用が約600億円増の1000億円になったためとしているが、想定人数以上の応募者があったことは明らかだろう。

 応募者殺到の理由として、通常の退職金に加え、年齢に応じた特別加算金が挙げられる。特別加算金だけでも数千万円が支給されるといわれる。確かに魅力的な金額であるが、それだけが応募の動機や理由なのだろうか。パナソニックHDの対象者は勤続5年以上の40~59歳の社員と64歳以下の再雇用社員だ。長年会社に貢献してきたベテラン社員であり、社員からすれば「黒字であるのになぜわれわれだけを対象にするのか」と、疑問を抱いても不思議ではない。

 実際に、パナソニックHDの40代の社員は「過去にもリストラはあったが、そのときは『業績が悪化したので仕方がない』という雰囲気もあった。ところが、今は業績は良いのに、しかもここまで大規模な人員削減の実施に社内の誰もが驚いているようだった」と語る。

 この社員は、早期退職の募集に応募しなかった。その後の社内の様子について「対象となる40代以上は、人によって程度の差はあるものの、ショックを受けていない人はいないと思う。募集に手を挙げた人の中には、いろいろ考えた結果、『この会社は自分にとって未来がない』と思って辞める決心をした人もいる。残ったわれわれにとっても、『会社はこんなことをするようになったんだな』と思うし、以前のように会社に愛着心がなくなったのは確かだ」と語る。

 では、会社にとって想定以上に応募者が増えたことは喜ばしいことなのだろうか。

 次ページでは、パナソニックHDや三菱電機といった名だたる企業が続々と黒字リストラに踏み切る真意を、役員の発言などから解明していく。さらに、研究者の知見も紹介しながら、昨今の「黒字リストラブーム」が若年層に及ぼす影響を分析する。