PMI(購買担当者景気指数)のような景況感や心理を表す経済指標が悪化している。それを裏付けるかのように、景気の先行指標である、銅価格を金価格で割って算出される「銅/金レシオ」も低下している。中国経済の指標にも伸びが鈍化するものが目立つ。世界経済の先行きに黄信号がともりつつある。(みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔)
景況感・心理を表す経済指標が
主要国で8月以降悪化
8月に入り、各種のセンチメント(景況感・心理)指標が軒並み悪化している。例えば8月13日に発表された米7月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は2011年以来、約10年ぶりの低水準まで急落している。欧州でも8月23日に発表されたPMI(購買者担当景気指数)が総合、製造業、サービス、いずれも久しぶりに悪化した。
欧米に限らず、デルタ変異株の感染拡大が需要抑制やサプライチェーン毀損に及んでいることで世界的にこのような動きが散見されている。新たなリスクオフ局面の到来を告げるものかどうか判断を迫られる状況にある。
コロナ禍において、センチメント指標のようなソフトデータは上下に大きく振れやすくなっているため、拙速な悲観傾斜は避けるべきである。そもそも欧米では日本のように新規感染者数を針小棒大に扱うことをせず、軽々にロックダウンや学校休校といったフレーズは出てこなくなっている。