大切なのは「習慣化」
会社単位で取り組む事例も

 そこで同社は、今年4月「コンディショニングコーチ」というサービスの導入に踏み切った。これは、中野ジェームズ修一さんが運営するトレーニングジム(CLUB100)が提供しているもので、さまざまなプログラムを実践して健康を改善する取り組みだ。従来はスポーツ選手に対して行っていたものだが、一般企業が採用するケースは、まだ珍しい。

「毎朝9時から20分間、全社員がオンラインで筋トレとストレッチを行っています。全員が顔を出しますので、体調などその日の状況を知ることができます。インストラクターは中野さんが運営するCLUB100のスタッフが務めてくれます。さらに月2回、ジムでパーソナルトレーニングも受けられます。専用のトレーナーが担当するマンツーマンレッスンです。最初にカウンセリングを受け体内組成を測定し、その後、トレーナーが個々に合わせたオリジナルプログラムを作ってくれます」

 また月に1回、中野さんによるセミナーも受講する。単に体を動かすだけでなく、なぜこの運動が必要なのか、どのような食事のとり方をしたら良いのかなどの知識も学び、理論的な理解を深めるためだ。さらに、女性社員の出産前後のサポートとして、骨盤調整の施術も用意されている。これら全ての費用は、会社が負担している。

座りっぱなしの「とてつもない危険」を見過ごしてはいけないワケテレワーク時に必要なのは、全身の筋トレや有酸素運動、ストレッチ。バランス良く行うことで効果が上がる

「仕事柄、運動習慣のない社員が多かったのですが、コンディショニングコーチのレッスンを受けて次第に変化が表れました。疲れ具合が減った、朝一番で筋トレするので午前中のパフォーマンスが上がった、こんな声を聞くようになりました」

 中野さんのセミナーを聞いて、自身の体調に危機感を持つようになった社員が増えたという。他のジムにも通ったり、自主的にスポーツを始めたりする社員も出てきた。運動習慣が身についた結果、仕事にも自信がついた、そんな社員もいる。

「弊社は主にフィットネスジム向けにシステム開発を行う企業です。その社員が健康といえないのでは、業界への信頼性を損ねてしまうかもしれません。ですので、ウエルネス経営のリーディング企業を目指し、これからも社員の健康を第一に考えたいと思います」

 WHO(世界保健機関) は、成人に対して週に150 分以上の中強度の身体活動を推奨している。ジムに通わなくてもテレワーク下の体調管理は十分に可能だ。筋トレやストレッチの動画を見ながら体を動かす。また気分転換に軽いジョギングをする。こういった習慣をつけることで、健康二次被害は防ぐことができる。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))