昨今の広告不況下においても、前年同期比8.5%増の売上を確保したミクシィ。国内最大手ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)『mixi』を運営する同社の広告収入の基盤となるのは、その驚異的な集客力だ。月間PVは、9月時点で159.7億PV(PC・モバイル合計)、ユーザーは約1800万人と拡大を続ける。その背景には、いつまでもユーザーを飽きさせない事業戦略がある。特に、今年8月から始めた『mixiアプリ』は大きな話題となっている。競合他社が不況に喘ぐこの厳しい時代に、彼らはなぜPV・ユーザーを増加させ、広告売上を確保し続けられるのか。その秘訣と「次の一手」について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子、撮影/住友一俊)

『mixiアプリ』導入で
10月は対前月比10億PV増

―9月の月間PVは159.7億PVと驚くべき数字をたたき出している。なぜ、ここまでPVを伸ばすことができたのか?

笠原健治かさはら・けんじ/ミクシィ代表取締役社長。1975年大阪府生まれ。東京大学経済学部卒。97年、大学在学中に求人情報サイト「Find Job !」の運営を開始。99年に法人化、代表取締役に就任。2004年2月、ソーシャル・ネットワーキングサイト(SNS)「mixi(ミクシィ)」の運営を開始。現在、約1800万人を超えるユーザーを抱える、日本最大のSNSに成長。

 やはり最近では、『mixiアプリ』の影響が一番大きい。8月24日にPC向けのアプリを開始し、PCのPVは9月に45億PV、10月に55億PVと、好調に推移している。また、それにつられて既存の日記やコミュニティのPVも伸びてきている状況だ。

 一方モバイルに関しては、10月27日に開始したばかりなので、まだPVへの反映を発表できる段階ではない。ただ、モバイル向けのアプリも急速に成長しているので、大きな期待を寄せている。

―PVだけでなく、広告収入も飛躍的な伸びを見せている。SNSサービス「mixi」の第2四半期(7月~9月)の広告売上高は、対前年比で11.7%増となっている。広告不況下において、これほどまでの成長を遂げられた理由は何か?

 PC広告市場はある程度成熟し、PVに連動して広告収益がついてくるようになった。広告不況下で他の媒体と比較したときに、「費用対効果のよい媒体」「クライアントの望む効果が得られる媒体」として、選ばれているという自負はある。最近は、アプリを使った広告展開も始めており、本田技研工業やアメリカンファミリー生命保険などナショナルクライアントにもご出稿いただいている。

 また、ここ1年でモバイルの広告市場は急速に拡大してきた。これまでPCにしか出稿していなかったクライアントも、モバイルに出稿する傾向が高い。また、ネットに出稿した経験のないクライアントからの出稿も増え始めている。

 弊社が目指すコミュニケーションサービスは、モバイルとの親和性が高い。「媒体力の大きさ」「アクティブなユーザー」といった観点から、モバイルが確実に効果の高い広告枠になるのは、以前からわかっていた。今、その良さが着実に広告主に伝わり始めていると思う。

 当初はPCの補完サービスとしてのモバイルだったが、今や“モバイルも主人公”になっている状況だ。今後もモバイルとしてきっちり使えるサービスを作り、使い勝手を強化してきたい。