罹患者が1人でもロックダウンを決行

2期目のアーダーン政権は、議会の過半数の議席を得るなどニュージーランド国民からの信頼も厚い2期目のアーダーン政権は、議会の過半数の議席を得るなどニュージーランド国民からの信頼も厚い。(出所)ニュージーランド政府ウェブサイト

 コロナ対策で評価されている政治家といえば、この人の名前を真っ先に挙げるべきだろう。2021年5月、「フォーチュン」誌は「世界のもっとも偉大な指導者50人」の第1位に、ニュージーランド首相のジャシンダ・アーダーン氏を選出した(写真)。「Covid-19のパンデミックを抑え込むだけではなく、根絶していることを評価して」である。

 ニュージーランドは大陸から遠く離れた南半球の島国だ。それでも人口500万人の同国で、感染者数が累計2,700件、死者26人は一種の奇跡であろう。同国は20年3月から他国に先駆けて国境封鎖を実施し、なおも厳しい水際対策を取り続けている。それもあって、コロナ下でも日常に近い生活が可能になっている。21年8月17日、半年ぶりに市中感染者が1人発見されると、直ちに全土で3日間、最大都市オークランドでは7日間のロックダウンが実施された。公共スペースではマスク着用が義務付けられ、同国初の「デルタ株対応」に全力を挙げているところである。

 すでに1日当たり万単位の感染者を出しているわが国から見ると、「何もそこまで…」という気にもなるが、重要なのはこうした厳格な警戒体制が国民の支持を得ていることである。