ENEOSPhoto by Masahiro Shimizu

ENEOSホールディングスが、2500億円超で東証1部上場の子会社株を売却することが分かった。ENEOSが株式の過半数を保有し、今回の売却対象となる道路舗装最大手のNIPPOは、ENEOSの持ち株全てを自社株買いで引き受ける。これとは別に、ENEOSが設立した特別目的会社(SPC)が、NIPPOに対してTOB(株式公開買い付け)を実施。2022年初頭に、NIPPO株は非公開化される見通し。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

ENEOSが脱炭素対応で子会社株を現金化
鉄鋼、電力、商社に同様の動きが広がる可能性も

 石油元売り最大手のENEOSホールディングス(HD)が、2500億円超で東京証券取引所第1部に上場する子会社株を売却する方針を固めた。ダイヤモンド編集部の取材で分かった。近く発表する見通しだ。

 その子会社とは、ENEOSHDが株式の56.8%を保有する道路舗装最大手NIPPOだ。

 脱炭素の潮流が世界的に高まっており、ENEOSHDは温暖化ガスをたくさん出す石油関連事業の構造転換を迫られている。ENEOSHDは今回の売却で得た資金を「再生可能エネルギーや水素事業など新分野への投資に充てる」(同社関係者)という。

 脱炭素への移行には多額の費用がかかる。傘下の上場企業の株式を現金化する動きは、今後、石油元売り同様に温暖化ガスを多く排出する鉄鋼大手や電力会社、商社などにも広がる可能性が出てきた。