ENEOSPhoto by Masahiro Shimizu

ENEOSホールディングスの脱炭素対応に絡んで、同社の上場子会社であるNIPPOの株式がTOB(株式公開買い付け)で非公開化を迫られることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。では、「次のNIPPO」はどこか?独自作成の「TOBしそうな子会社候補リスト【50社】」で探っていきたい。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

脱炭素対応でTOBしそうなのは?
「上場子会社TOB候補リスト」を大公開

 石油元売り最大手、ENEOSホールディングス(HD)の上場子会社である道路舗装最大手のNIPPOが、TOB(株式公開買い付け)を経て株式を非公開化されることが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。

 TOBの終了後、NIPPOはENEOSHDの持ち株全てを自社株買いで引き受ける。ENEOSHDは2500億円超の現金を手にする(『ENEOSが東証1部上場子会社・道路舗装最大手のNIPPOを売却、同社がTOBで非公開化【スクープ】』で詳報)。

 TOB価格は、足元の株価に3割程度のプレミアム(上乗せ幅)を乗せるケースが多い。既存株主に売ってもらうためだが、仮に3割のプレミアムを付けてTOBが成立すると、今回のNIPPOの株式非公開化に必要な買収総額は約5300億円になる(NIPPOによるENEOSHDの持ち株の買い取り価格が、TOB価格と同じだと仮定)。

 今回の案件が進む背景に、「脱炭素への移行にかかる多額の費用を賄いたい」というENEOSHDの思惑があった(『ENEOSが「貯金箱」子会社の株全売却へ、ゴールドマンも絡む複雑スキームの全貌【スクープ】』で詳報)。傘下の上場企業の株式を現金化する、こうした動きは今後、温暖化ガスを多く排出する他の企業にも広がる可能性が出てきた。

 そこでダイヤモンド編集部は、石油元売り、鉄鋼(高炉)、電力・ガス会社、大手商社、海運、繊維・化学大手、セメント・ガラス製品、それぞれの傘下の上場子会社を対象に、「脱炭素でTOBしそうな子会社候補リスト【50社】」を作成した。

 実は、リスト作成の条件で上場子会社を抽出したところ、実際に今年7月に上場廃止した昭光通商(昭和電工子会社。丸紅系ファンドがTOB)と、エス・ディー・エスバイオテック(出光興産子会社。出光が完全子会社化)の2社が引っ掛かった。このリストの信頼性を裏付ける結果といえるだろう。

 2022年初頭に非公開化される見通しのNIPPOは、実質的にはリスト内で3社目に当たる(次ページのリストで紹介する50社は、上場廃止した昭光通商とSDSバイオテックを除いた社数)。

 それでは候補リストを確認していこう。また、NIPPOの事例から編み出した、リストから次のTOB子会社を予測する上で役に立つ、五つのポイントも合わせて解説していきたい。