いまや“ワクチン長者”とも呼ぶべきファイザーが思わぬところで躓き、各方面に迷惑をかけている。同社は6月18日、医療関係者向けに、禁煙補助薬「チャンピックス錠」の出荷を一時的に停止する案内を開始した。米国本社が全製品について発がん性物質「ニトロソアミン」の評価を行ったところ、他国に出荷された同薬の特定ロットで、主成分であるバレニクリン由来のニトロソアミンが検出されたからだ。これを受け、市場出荷済みの製品と製造中の全ロットでニトロソアミンの定量試験を実施することになり、結果が得られるまでの予防的措置として出荷を止めた。
一方、海外ではすでに回収が進んでいた。カナダでは6月8日付で自主回収を実施し、米国でも7月2日付で製品の引き揚げに着手。さらに、韓国当局は7月9日付で「不純物(発がん性物質)発生の可能性を排除することはできない」とし、服用時には注意するよう勧告した。
この動きに続くかのように、7月28日には国内でも自主回収に踏み切った。日本へ出荷した製造番号品で社内基準値を超えるニトロソアミンが検出。5月6日に出荷を開始した「チャンピックス錠1mg」の1万5935箱(28錠PTP包装)が対象となった。
禁煙治療への影響は計り知れない。