(例)「そのとき一緒にいたはずの親友も覚えていなかったので『えっ、みんな覚えてないの?もしかして覚えてるのは私だけ?』って思わず聞いてしまいました」

 自分の発言でも、過去に言ったことの再現であれば敬語でなくても失礼にならないのがおわかりいただけたと思います。「自分の発言の引用」は、このあと本格的に敬語をくずしていく段階の準備運動にもなるので、特に意識してやっておくとよいでしょう。

 3つめの引用は「過去の感情を説明する引用」です。

(例)「正直、あの頃は空手が嫌になっていて『本当につらい。次の試合が終わったら絶対やめたい』って、いつも思っていたんです。タイミングを逃しているうちに、優勝してしまったというのが本当のところでして」

 この段階では、相手に伝わる程度に会話が和みますが、まだ相手に対する話し方はくずしていないので、ほとんどの関係性の人に使えます。紹介した3つの引用の中でも「自分の発言の引用」を十分にやっておくと、この先、スムーズに敬語をくずしやすくなります。

「この人とは親しくなれそうだろうか」と探っているのは相手も同じです。積極的に使って、安心してもらうのがお勧めです。