ポートフォリオ(Portfolio)とは、書類入れ、書類を運ぶためのかばんを表し、個々の書類を別々に扱うのではなく、書類全体をひとつの物として扱うという意味を持っています。

 資産運用においても、株式や債券、不動産といった様々な資産を別個のものと捉えるのではなく、ひとつのかたまり、まとまり(ポートフォリオ)として考えることが重要と言われています。

 このMPT理論によれば、資産運用においては、相関係数が低い資産を組み合わせることでリスクを抑えた運用ができます。

 すなわち、ある資産Aが値上がりする時には値下がりする資産B(両者の相関係数はマイナス)を組み合わせたり、Aの値動きに全く関係がない(相関係数ゼロの)資産Cを同じかばんのなかに入れたりすることで、安定したリターンが得られる(損のしにくい)ポートフォリオとなります。

何が起こっても資産が減らないように

 富裕層の多くは、すでに株式や不動産などの資産をお持ちであり、それらとは異なる値動きをする資産を持つことでリスクを抑えたいとお考えです。

 普通の日本語では、リスクは「危険」「良くないことの起こる可能性」といった意味で使われますが、資産運用の世界では、リターンのブレの大きさを指すことが一般的です。

 つまり、想定しているリターン(利回り)よりも儲かってしまうことも(損をすることと同様に)リスクと捉えるのです。

 そして、富裕層はこのリスクを嫌います。大きく儲からなくてよいから資産が減らないこと(より正確には、想定リターンどおりに少しずつ増えていくこと)を第一に考えるのです。

 株式相場がクラッシュしようが、金利がマイナスになろうが、資産全体(ポートフォリオ)の価値を保全する――。

 これこそが富裕層の行動原理なのです。