ワクチン1日100万回接種は評価できる
インフルの4割増しにすぎなかったが

 ワクチン接種については、首相の積極性によって1日100万回以上の接種が実現した。しかし、実は、日本は毎年インフルエンザワクチンを1日70万回打っている。2020年~21年では6356万回分のワクチンが供給されている(厚生労働省 平成30年4月11日第1回 医薬品医療機器制度部会「改正法の施行後5年を目途とした検討」「資料2 2020/21シーズンのインフルエンザワクチンの供給について」)。

 インフルエンザワクチンは10月に供給され12月までの3カ月間に接種される。すると、月に2119万回分、1日当たり70万回が毎年接種されている。通常の仕事の10倍をやれと言われては役人も困るが、必要な予算と人員の手当てがあれば、4割増し(100万÷70万)くらいの仕事はなんでもない。実際できてしまって、ワクチンが足りない状況を作り出した。

 私は、役人が「できない」と言っていたのは、マスコミに「できない」と報道させて、実際にできれば首相の手柄になるから、わざと「できない」と言って、首相の手柄づくりをするという高度な忖度ではないかと思っていたのだが、どうもそうではなく、単に機敏に動かなかっただけのようだ。

 厚労省が消極的なので、首相は、地方自治体を主体に接種体制を組んで(おそらく人脈と強い影響力を行使できる総務省を使ったのだろう)、自衛隊も動員して接種を加速させた(自衛隊の最高指揮官は首相である)。