コロナ後の「テーパリング」、過去との違いは“巨大クッション”の存在FRBパウエル議長 Photo:Alex Wong/gettyimages

視野に入り始めた「テーパリング」
米国は年内に開始の可能性

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はジャクソンホール・シンポジウム(カンザスシティー連銀主催、8月27日)の講演で、「米経済が予想に沿って回復すれば、今年中に資産購入の減額を開始するのが適切」と述べた。
 
 7月の公開市場委員会(FOMC)の議事録で同様の内容が示されていたため、サプライズはなかったものの、「ハト派」のパウエル氏などFRBの主流派も、資産買い入れの減額(テーパリング)を視野に入れ始めたことが確認された。

 欧州中央銀行(ECB)もパンデミック対応として実施してきた緊急資産買い入れプログラム(PEPP)は、2022年3月が期限となっている。

 コロナ前からの通常の資産買い入れプログラム(APP)を増額するなどして激変緩和措置を取りつつも、年内の理事会で来年4月以降のPEPPの減額ないし終了を決めるとみられている。

 新型コロナウイルス・パンデミックの下、主要国で行われてきた大規模金融緩和は転換点に近づいているといえるが、世界金融危機後の前回のテーパリングとは様相が違う。