ポスト競争に敗れても、それまで積み上げてきた右肩上がりの成長と給料の「惰性」で、プライドもお金もなんとか耐え忍べたわけだ。今、それはもうない。

 定年の延長によって、むしろ追い出そうと圧力がかかる。惰性はきかず、そのまま外に放り出される。だからこそ、積み上げてきたマインドセットを切り替えなければならない。

「これまでと同じような給料を得たい」
「これまでと似たようなポストにつきたい」
「これまでと近い仕事内容で活躍したい」

 このような考え方は、すべていったん捨て去る必要がある。30代、40代の最も活躍できた頃以上の給料やポスト、社会的地位を得られる可能性は極めて低い。その延長線上に、シニアは立てない。しかも、シニアの“幸せ”はその延長線上にはないのだ。

 50歳を超えたあたりから、ビジネスパーソンはこれまでとは違うマインドセット、新しい軸を持って生きなければならない。それが人生100年時代に、本当に豊かな暮らしをいとなむ唯一の方策なのだ。