OECD(経済協力開発機構)のデータで、日本の1人あたりの労働生産性が37カ国中26位で、韓国にまで抜かれてしまったというニュースを聞いても、「こんな数値はインチキだ」と耳を塞ぐ人がたくさんいるように、日本人は伝統的に自分たちに都合の悪いデータを受け入れることができないのだ。

 が、どんなに現実から目を逸らしたところで、異常な低賃金や低成長が改善されないように、ジェンダーギャップ指数を否定しても、「日本のえげつない男女格差」という事実を覆すことはできない。

 例えば今年2月、環境配慮型のフェムテックプロダクトを展開するアミーが女性288名を対象に、社会通念上やしきたりにおいて男女平等になっているかと尋ねたところ、92%が「なっていないと思う」と回答している。また、日本労働組合総連合会が就活生1000人を対象に実施した調査でも、およそ3割が「男女差別がある」と感じている。これらが「被害妄想」ではないことは、東京医科大学が入試で女子の得点を一律に減らし、女子の合格者が増えないよう調整していた事実からも明らかだ。

 では、なぜ日本ではこんなにも男女格差が広がってしまったのか。

日本には「タリバン」のような人たちがいる
政治と経済に近づけない女性たち

 日本の男たちの意識が低い、おじさん社会が悪い、いつまでも「サザエさん一家」のような専業主婦のいる家庭を「理想」とするような昭和の価値観を引きずっていることが諸悪の根源だ…などなどいろいろなご意見があるだろうが、個人的には、女性の人権を抑圧するタリバンのような人々がいるせいだと考えている。

 といっても、それは本家のような政治的組織ではない。宗教やイデオロギーでもない。「日本のタリバン」とは一言で言ってしまうと、「低賃金労働に依存した企業」のことだ。

「こいつの頭は大丈夫か」と心配になる人も多いと思うので、順を追って説明していこう。