先ほどのジェンダーギャップ指数を見てみると、実は「教育」(92位)と「医療」(65位)はそれなりに善戦している。「政治への関与」と「経済活動」のスコアの低さが足を引っ張っているのだ。

 では、この2つの分野の男女格差を埋めるためにはどうすべきかというと、政府が女性の管理職を増やそうとしていることからもわかるように、「賃金格差」に手をつけなくてはいけない。

 同じ仕事をしている男女が、格差なく賃金をもらう。つまり男女が格差なく評価をされ、格差なくポストに就くことができるということだ。これによって「経済活動」の格差が縮まるのは当然として、女性の政治参加も促すことができる。

 というのは、男女の賃金格差が埋まって経済力のある女性が増えれば、その中から政界に進出しようという人も増えていく。政策だ、信念だ、ときれい事は言うが結局、政治家になるには「カネ」が必要なのだ。

 それは連日の総裁選報道に登場する安倍、麻生、岸田、河野、石破、小泉という人たちがすべて物語っている。彼らは生まれながらのエスタブリッシュメント(支配階級)で、ブランド、選挙地盤に恵まれているということもあるが、何よりも「経済的基盤」という武器もあるのだ。

「低賃金労働に依存した企業」が
女性の賃金を上げない

 実際、ジェンダーギャップ指数を見ても、女性の経済力、政治参加はリンクしている。例えば、「経済活動」で4位のアイスランドは「政治への関与」でも1位。「経済活動」11位のスウェーデンは、「政治への関与」でも9位となっている。

 では、それを踏まえて、我らが日本の男女間賃金格差を見てみると、衝撃の事実が浮かび上がる。OECDによれば、日本における男女の平均賃金の格差は23.5%で、国際平均のほぼ2倍。韓国に次いでワースト2という惨状だ。

 これほど女性たちが低賃金労働を強いられている国で、女性管理職比率がそう簡単に上がっていくわけなどないし、ましてや女性政治家など増えるわけがないのだ。

「だったら、女性の賃金を上げていけばいいのでは」と思うだろうが、そこで「日本のタリバン」の登場となる。本家タリバンが女性の人権を抑圧しているように、日本では「低賃金に依存した企業」が女性の賃金を低く抑えているのだ。