百貨店の苦境が深刻さを増している。全国の主要百貨店70社の最新期の売上高は合計4兆996億円で、前期より1兆5189億円も減少した。新型コロナ感染拡大で頼みの綱のインバウンド需要が消失し、休業要請や時短営業が襲いかかった。百貨店の市場規模はバブル期に10兆円を誇ったが、ここ数年は閉店が相次ぎ、縮小の一途をたどっている。そこにコロナ禍が直撃したこの1年はかつてない苦戦を強いられた。売り上げはピーク時の約4割にまで落ち込み、利益も想定以上の売り上げ減少で費用を吸収できない百貨店が続出。雇用調整助成金の特例など、コロナ関連支援を受けながらも8割が赤字転落という危機的状況にはまっている。(東京商工リサーチ情報部 増田和史)
コロナで百貨店離れが加速
今年は6店舗が閉店
新型コロナの影響を受けた業種といえば、飲食業や旅行、宿泊業などが真っ先に挙がるが、百貨店もコロナ禍のダメージを大きく受けた業界の一つだ。
相次ぐ緊急事態宣言の発令で、営業機会が減少し、ブライダルや入学・卒業式などイベント縮小を受けた需要減も小さくない。さらに在宅勤務や外出自粛で化粧品関連や、オフィスウェアが主力の百貨店アパレルもその余波にのみ込まれている。