1億総リストラ#6Photo:PIXTA

三越伊勢丹ホールディングスはかつて「追い出し部屋」問題で批判を浴びた。やり玉に挙がった部署は廃止されたが、人員リストラ計画そのものは進んだ。これによって、年収1000万円レベルを手にしてきた課長職の仕事や収入はどうなったのか。そして今春始動の新社長体制はどう動くのか。特集『1億総リストラ』(全14回)の#6では、三越伊勢丹が実施したリストラの内情を明らかにした。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

年収1000万円の課長級が
リストラの標的になった

 事実上の社内クーデターで杉江俊彦氏が三越伊勢丹ホールディングス(HD)社長に就任した2017年春、新体制は早々に世間から批判を浴びた。

 各店舗の助っ人役となる部署として新設した「サポートチーム」に配属された社員の扱いがひどく、「追い出し部屋」であると糾弾されたのだ。

 このサポートチームは即解散になった。しかし、それで人員リストラ計画まで消えたわけではない。

 百貨店業界が衰退する中にあって構造改革は必須。改革の一環として、およそ3年かけて人員を大幅に削減する計画が遂行された。

 大手百貨店はその昔、高給取りの人気就職先だった。業界が低迷してからは採用数や自然減で正社員の頭数を減らし、高給を保った。

 三越伊勢丹社員の年収は、賞与額にはよるが一定の経験なりを重ねれば「ステージC」と呼ばれる一般社員級で500万円レベル、「ステージB」と呼ばれる課長級であれば1000万円レベル、「ステージA」と呼ばれる部長級は1500万円レベルが見込める。

 リストラで人数的に最大ターゲットとなったのは2000人超いた課長級の社員で、およそ3割規模の人員削減を目指した。リストラ計画によって彼らの「仕事とカネ」は変わった。