税務調査で「故人の趣味」を聞かれる理由、元税務職員が明かす裏側写真はイメージです Photo:PIXTA

相続税調査では、一見、相続税と関係しそうにないことも質問されます。その一つが、「故人の趣味」です。どのような意図でこのような質問がなされ、故人の趣味が相続税にどう関係するのでしょうか。(元国税専門官 小林義崇)

相続税調査はプライベートに踏み込む

 相続税調査では、「どうしてそんなことを聞くのか?」と言いたくなるような質問をされることがあります。たとえば被相続人の生い立ちや交友関係、関係の深い土地、生前の健康状態、趣味といった、プライベートに立ち入ったことも、よく質問されます。

 私は東京国税局の職員として相続税調査を担当していましたが、相続人の方にこうした質問を行うと、ほぼ確実にけげんな顔をされました。「相続税と関係ないでしょう」と言われたことも一度や二度ではありません。

 たしかに、このようなプライバシーに関わる質問は、相続税調査と関係ないと思われるでしょう。しかし、税務職員は好奇心からこのような質問をしているわけではないのです。質問の裏には、相続税調査のための明確な意図があります。

 事実として、「故人の趣味」によって、相続税調査の展開は変わります。調査時の答え方次第で、調査がさらに厳しくなることもあれば、逆に調査が早く終わることもあります。その理由について、解説していきます。