レビュー
ソニーが元気になった。ソニーは要約者の世代で言えば、ウォークマン、ハンディカム、VAIO、AIBOなど革新的でとにかくカッコ良くて、みんなから「へぇー」と言われる製品を世に出していた会社だ。今で言うと、アップルのような会社だったのではないか。
そんなソニーが主力のエレクトロニクス部門の構造的な赤字に苦しみ続け、プレイステーション3の失敗などもあり、「このままじゃ潰れる」という時代が2000年代に続いた。そんな中、異端のキャリアを経て社長になったのが、本書『ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」』の著者の平井一夫氏だ。
「平井氏に社長が務まるはずがない」――2012年に社長に就任して以来、これでもかというほどのバッシングに平井氏はさらされてきた。そんなソニーが復活したのだ。
この本は、ソニー社員が持つ情熱のマグマに再び火をつけ、力強く前を向く会社に蘇らせた、本物の企業リーダーの迫力あるストーリーになっている。奇をてらわない。戦術や戦略を実行する社員との信頼関係をどう築くか。ソニーの元経営トップの経営哲学と魂からほとばしる言葉に、我々は多くの学びや気づきをもらえるはずだ。
「この人といっしょに働きたい」と思われるリーダーになるためには、何を考え、どう行動すべきか。そのヒントがあふれんばかりに詰まっている一冊である。(たばたま)