みずほシステム「異例の改善命令」が、コンサルを儲けさせるだけになる大きな懸念Photo:Diamond

みずほ銀行がシステム障害を多発させた上、障害の原因を解明できないことから、金融庁が直接的な介入に乗り出した。麻生太郎金融相は、主体はあくまでもみずほ側にあると強調しているが、異例の措置であることは間違いない。金融庁の介入でガバナンスの問題はある程度、改善される可能性が高いものの、金融庁もシステムの開発や運用については素人である。実務についてはコンサルティング会社などの助けを借りる必要があると考えられ、逆に状況が複雑化するリスクもある。(経済評論家 加谷珪一)

みずほに業務改善命令
「実質管理」で状況は変わるのか

 金融庁は2021年9月22日、みずほ銀行と親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)に対して、銀行法に基づく業務改善命令を出した。システムの改修や保守点検に関する計画書の再提出を求め、システムの安定稼働に必要と判断すれば、改修や更新を延期したり、新規事業など負荷のかかる業務を一時停止したりすることなどを要請する。これは、金融庁がみずほ銀行のシステムを実質的に管理することを意味しており、行政当局としては異例の措置と言ってよい。

 金融庁がここまで踏み込んだ措置を実施するのは、同行のシステムトラブルがあまりにも深刻で、このまま放置すれば金融システム全体の信頼性が損なわれると判断したからである。当局の危機感は理解できるし、今後の対応を同行に一任するという選択肢はあり得ないだろう。

 だが、当局が直接システムの管理に乗り出したからといって、一連の問題が解決するとは限らない。場合によっては、状況がさらに悪化する可能性も否定できないのが現実である。